
先に結論
- 引っ張りタイヤは、ホイールの幅に対して細いタイヤを組むことです。まず見るのは、タイヤごとの「適用リム幅」です。たとえばブリヂストンの表で、225/40R18は7½〜9Jです。
- 範囲を超えて引っ張るほど危険は増えます。タイヤのふちがリムまで届かない組み方は、当店はおすすめしません。実際にやっている人がいても、安全かどうかは別の話です。
- 引っ張りタイヤは、空気圧が下がるとビード落ちのおそれがあります。毎週見るくらいの空気圧の管理が要ります。空気圧を管理できない人は、引っ張りタイヤには向いていないと思います。
- 引っ張ると、タイヤのリムガードがリムを守らなくなることがあります。縁石や段差でのリムの傷に注意してください。
- 車検で引っ張りの度合いに数字の基準はありません。問題になりやすいのは荷重指数です。
引っ張りタイヤとは?
ホイールの幅に対して細いタイヤを組み、タイヤの横の面を斜めにする組み方です。タイヤの肩がホイールに引っ張られるので、この名前で呼ばれます。
当店では、セルシオ用の20インチのホイールで、前を255mmから225mmへ、後ろを275mmから245mmへ、どちらも30mm細くした例があります。
どこまで引っ張っていい?危なさの段階は?
「適用リム幅の中か」「タイヤのふちがリムまで届くか」で、危なさの段階が変わります。ビードは、タイヤのふちの、ホイールに固定される部分です。当店では、次のように考えています。
| 状態 | 内容 | 当店の考え |
|---|---|---|
| 適用リム幅の中 | タイヤメーカーが決めた範囲。見た目に少し引っ張っていても、この範囲です | まずここで考えてください |
| 範囲は超えるが、リムに届く | メーカーの範囲の外。空気圧を保てないと危険です | リスクを知ったうえでご相談ください |
| リムに届かない | タイヤのふちとリムの間に隙間があります。ハンドルを切ったときなどに空気が漏れるおそれがあります | おすすめしません |
| ビードが上がらない | タイヤが正しく組めていない状態です | 走れません |
適用リム幅を超える引っ張りは危険で、ビードが上がらない可能性や、ハンドルを大きく切ったときにタイヤがよじれて空気が漏れることがあると言われます。
SNSやカスタムの写真で強く引っ張った車を見かけることがあります。実際に走っている車があることと、安全かどうかは別の話です。極端に引っ張る組み方は、当店はおすすめしません。
引っ張りタイヤのサイズ表(適用リム幅)
ブリヂストンの一覧表から、引っ張りでよく比べられる細めの大きさを抜き出しました。自分のホイールの幅が、この範囲に入るかを見てください。
| 大きさ | 適用リム幅 | 荷重指数 |
|---|---|---|
| 215/40R18 | 7〜8½J | 89 |
| 225/35R18 | 7½〜9J | 83 |
| 225/40R18 | 7½〜9J | 88・92 |
| 245/35R18 | 8〜9½J | 92 |
| 225/35R19 | 7½〜9J | 88 |
| 235/35R19 | 8〜9½J | 91 |
| 245/35R19 | 8〜9½J | 93 |
| 235/30R20 | 8½J | 88 |
| 245/30R20 | 8〜9J | 90 |
| 255/30R20 | 8½〜9½J | 92 |
| 245/35R20 | 8〜9½J | 95 |
| 255/35R20 | 8½〜10J | 97 |
ブリヂストン「タイヤパタン・サイズ保有一覧表」より。荷重指数はスタンダードとエクストラロードで違うものがあり、同じ大きさでも銘柄で変わることがあります。ほかのメーカーのタイヤは、そのメーカーの資料で確かめてください。この表に無い大きさもあります。
同じ30の20インチでも、235は8½Jだけ、255は8½〜9½Jと、範囲はずいぶん違います。
引っ張り具合は、どう計算する?
ホイールの幅の数字を、適用リム幅と比べるのが基本です。引き算でmmにしたいときは、1Jを25.4mmで計算します。
| ホイールの幅 | mmにすると |
|---|---|
| 8J | 約203mm |
| 8½J | 約216mm |
| 9J | 約229mm |
| 9½J | 約241mm |
| 10J | 254mm |
たとえば9½Jは約241mmです。235のタイヤのほうが細く見えますが、これだけで安全かどうかは決まりません。上の表で235/30R20の適用リム幅は8½Jなので、9½Jは1J外れています。タイヤの厚み、ビードまわりの作りでも変わるので、mmの差だけで「ここまで大丈夫」とは言えません。
今のホイールに合うタイヤの太さは?
ホイールの幅から逆に探すと、範囲の中で選べる大きさが分かります。ブリヂストンの一覧表で、20インチの扁平率30と35を幅ごとに並べました。
| ホイールの幅 | 適用リム幅に入る大きさ(20インチ) |
|---|---|
| 8½J | 235/30、245/30、255/30、245/35、255/35 |
| 9J | 245/30、255/30、275/30、245/35、255/35、265/35、275/35 |
| 9½J | 255/30、275/30、245/35、255/35、265/35、275/35 |
| 10J | 275/30、255/35、265/35、275/35 |
引っ張りのホイールを中古で買ったときや、走ってみて不安になったときは、太いタイヤに替えるのも手です。外側の直径と、車体に当たらないかは別に確かめてください。
空気圧は何キロ入れる?
引っ張りタイヤは、普通より空気圧を高めに入れないと、ビード落ちのおそれがあります。ビード落ちは、タイヤのふちがホイールから外れることです。ただ、高ければ高いほどいいわけでもありません。
一般によく言われる数字は、3キロ(約300kPa)前後です。2.7〜3.3キロの間で調整するという説明もありますが、実際の数字はプロに相談してください。引っ張り具合によっては、3.5キロ(約340kPa)ほど入れている人もいます。
当店は、この数字をそのまま入れてくださいとは言いません。次のことで必要な空気圧が変わるからです。
- タイヤの規格:ブリヂストンは、同じ215/45R17でも、スタンダードの荷重指数は87、エクストラロード(XL)は91で、XLの力を出すには空気圧の調整が非常に重要としています。
- 車の重さ:同じくブリヂストンの例では、195/65R15から215/45R17のXLにインチアップすると、指定の230kPaでは足りず、280kPaが必要です。
- 引っ張りの度合い:強く引っ張るほど、空気圧が下がったときの危険が増えます。
セルシオ用のホイールの作業でも、高めに入れてお渡ししました。作業のときに、お車とタイヤを見てご相談します。
走るとタイヤの中の空気は熱で膨らみ、空気圧はさらに上がります。バーストは、空気圧が低いときだけでなく、高すぎるときにも原因になります。乗り心地も硬くなります。
空気圧の点検は、どれくらいの間隔で?
毎週見るくらいにしてください。空気圧を管理できない人は、引っ張りタイヤには向いていないと思います。普通の車は1か月に1回が目安と言われますが、引っ張りタイヤでは足りません。ふつうのタイヤでも、1か月で5%ほど自然に空気が減ると報じられています。空気圧を高くして形を保っている引っ張りタイヤは、減ったまま走るとビード落ちにつながります。
日本自動車タイヤ協会の手順をもとに、見る順番をまとめました。
- 決めた空気圧を確かめる:組んだときに店と決めた数字を、控えておきます。
- 測る:走ったあとは空気圧が上がって見えるので、タイヤが冷えているときに測ります。
- 減っていたら入れる:決めた数字まで補充します。
- 漏れとキャップを確かめる:バルブの口から空気が漏れていないことを見て、キャップを締めます。
次のようなときは、走らずにご相談ください。
- 1本だけ減り方が早い
- ハンドルを切ったあとに空気が減った
- ホイールのリムに、深い傷や変形がある
- タイヤのふちとリムの間に、隙間が見える
引っ張るとリムが傷つきやすい?
はい、リムガードがリムを守ってくれなくなることがあります。リムガード(リムプロテクター)は、タイヤの横の面のホイールに近い所に付いた、外へ張り出した部分です。縁石に寄ったときに先に当たって、リムを守る役目があります。
タイヤを引っ張ると横の面が斜めになり、ホイールのリムのほうが外に出やすくなります。すると、リムガードが先に当たらず、リムが直接縁石に当たることがあります。ふだんの車より、次のことに気をつけてください。
- 左に寄せて止めるときは、縁石との間を広めに取る
- 歩道の切り下げや段差は、ゆっくり越える
- 空気圧を下げたままにしない
高いホイールを守りたいなら、引っ張りすぎないことも選び方の1つです。
タイヤの銘柄で、引っ張りやすさは違う?
銘柄によって、タイヤの肩の形や作りが違うので、引っ張り向きかどうかも変わります。ただ、今回調べた範囲では、メーカーの資料で引っ張り向きをすすめているものは見つかりませんでした。買う前に見るのは次の所です。
- 肩の形:タイヤの肩には、角が立ったスクエアショルダーと、なだらかなラウンドショルダーがあります。同じ大きさでも、引っ張ったときの見え方やフェンダーとのすき間が変わります。
- 規格:XLやレインフォースドは、タイヤの内部の構造を強くした規格です(ブリヂストン)。荷重指数も変わります。
- リムガードの有無:銘柄や大きさで、付いているものと無いものがあります。
このため、この記事では「おすすめの銘柄」を決めつけません。ほかの人の車で大丈夫だったことは、自分の車で安全という意味ではありません。タイヤの大きさ、銘柄、ホイールの幅を送ってください。
なぜ引っ張りタイヤにする?メリットとデメリットは?
| よい所 | 気をつける所 |
|---|---|
| ホイールのリムが目立ち、タイヤが薄く見える | 空気圧が下がると、ビード落ちやエア漏れのおそれがある |
| 車高を下げた車で、タイヤとフェンダーが当たりにくくなる | 空気圧を高くする分、乗り心地が硬くなる |
| より薄いタイヤの代わりに、細いタイヤで近い見た目を作れることがある | タイヤの肩に負担がかかり、片減りなどで寿命が短くなることがある |
| リムガードが効きにくくなり、リムを傷つけやすい | |
| 荷重指数が足りなくなることがある |
ダサいか、かっこいいかは好みです。走りのためなら話は別で、今の国産のハイグリップタイヤでは引っ張っても性能は上がらず、適正なリム幅で使うのが一番という見方があります。サーキットや走りが目的なら、まず適正なリム幅を考えてください。
引っ張りタイヤは違法?車検に通る?
国の基準を見ても、引っ張りタイヤそのものを禁じる決まりは見当たりません。ただし、次の3つで問題になることがあります。
- 負荷能力:国土交通省の告示第167条では、積んだ状態の軸重を輪の数で割った重さが、タイヤの負荷能力以下であることとされています。細いタイヤで足りなくなると基準を満たしません。
- 破損と空気圧:同じ条文は、亀裂やコード層の露出など著しい破損がないこと、空気圧が適正であることも求めています。引っ張りの度合いに数字の基準はありませんが、見て危険と判断されれば通らない可能性があります。
- 車体からのはみ出し:告示第178条では、タイヤやホイールなど回る部分を車体の外へ出さないことが基準です。2017年の緩和で10mm未満のはみ出しが認められたのはタイヤだけで、報道によると、国土交通省はホイールは対象ではないと答えています。
当店では、保安基準に適合しない車両・作業・部品はお断りする場合があります。組む前にご相談ください。
荷重指数は、どれくらい変わる?
細く薄くすると、支えられる重さは下がります。上のブリヂストンの表の荷重指数を、ハンコックの換算表で重さにしました。
| 大きさ | 荷重指数 | 1本で支えられる重さ | 2本で |
|---|---|---|---|
| 255/35R20 | 97 | 730kg | 1,460kg |
| 245/35R20 | 95 | 690kg | 1,380kg |
| 245/30R20 | 90 | 600kg | 1,200kg |
| 235/30R20 | 88 | 560kg | 1,120kg |
たとえば前の軸に1,200kgかかる車なら、235/30R20の2本では1,120kgで足りません。実際に支えられる重さは空気圧でも変わり、人や荷物を積んだ重さで考えるので、車重を4で割るだけでは決まりません。ブリヂストンは、新車のときの負荷能力を下回らないよう注意を呼びかけています。
重い車ほど、細いタイヤとの組み合わせが難しくなります。買う前に、今のタイヤの荷重指数と比べてください。
外側の直径も変わる?
同じ扁平率で細くすると、直径は小さくなります。20インチで計算しました。
| 大きさ | 外側の直径(計算) | 255/35R20との差 |
|---|---|---|
| 255/35R20 | 約687mm | ― |
| 245/35R20 | 約680mm | 約7mm小さい |
| 225/35R20 | 約666mm | 約21mm小さい |
| 225/40R20 | 688mm | 約1mm大きい |
直径が変わると、スピードメーターの表示と実際の速さがずれます。純正の大きさと比べて確かめてください。
自分でできる?やってくれる場所は?
タイヤの組み替えは、専用の機械と経験が要るので、自分でやらないでください。引っ張るほどビードは上がりにくくなります。ビードを上げるために火を使うようなやり方も聞きますが、危険なのでしないでください。
引っ張りタイヤを受けない店や、引っ張り具合で断る店もあります。頼む前に、次のことを伝えると話が早くなります。
- ホイールの大きさと幅(20×9Jなど)
- 買う、または買ったタイヤの大きさと銘柄
- リバースホイールか、空気圧センサーが付いているか
- 車種と、車高を下げているか
当店は宝塚市安倉中にあります。引っ張りの度合いによっては、お断りすることや、別の大きさをご提案することがあります。
当店で組むと、いくら?
たとえば235/30R20を持ち込みで4本組むと、14,400円です(税込)。4本の組み替え10,000円に、扁平率35以下の追加の料金1本1,100円が4本分かかります。
| 20インチ 4本の組み替え | 10,000円 |
|---|---|
| 扁平率35以下(1本1,100円) | 4,400円 |
| リバースホイールのとき(1本550円) | 2,200円 |
| 空気圧センサー付きのとき(1本1,100円) | 4,400円 |
| 3つとも当てはまるときの合計 | 21,000円 |
古いタイヤの処分は、17インチ以上で1本660円です。ほかの大きさの料金は20インチ以上のタイヤ交換のページに載せています。
よくある質問
- 引っ張りタイヤの交換も頼めますか?
- 一度ご相談ください。タイヤの大きさとホイールの幅を送っていただければ、作業の金額をお伝えします。引っ張りの度合いによっては、別の大きさをご提案します。
- 車から外したホイールだけ持ち込めますか?
- はい。タイヤとホイールをお持ち込みください。お店に直接送る場合は、送る前にLINEでお知らせください。
- 適用リム幅は、どこで分かりますか?
- タイヤメーカーのサイズ表や、商品の資料に載っています。分からないときは、買おうとしているタイヤの商品ページを送ってください。
- 空気が減りやすいのは、引っ張りのせいですか?
- 引っ張りの度合いのほか、バルブやホイールの傷なども考えられます。見てみないと分からないので、ご相談ください。
タイヤの大きさとホイールの幅を、LINEで送ってください。作業の前に金額をお伝えします。